2010年末に実施した社会人20721名のアンケート結果について、その一部結果(6点)を紹介します
設問「専門のカウンセラーや心療内科・精神科へ相談に行く・通院したことがある」に対して5段階の選択肢(一度も経験がない〜非常によく経験した)の中から3段階目以上(「多少経験がある」)と回答した人の割合を算出。
年齢・性別のデータの偏りの影響をなくすために25歳から49歳までのデータについて、2007年の人口データ(総務省統計局「人口推計年報」)をもとに実際の人口分布に合うように割り戻した所、経験者の割合は16.7%でした。
別の回答結果より、勤務先企業の産業医による面接、EAP等の電話相談室、学生時代の学生相談室でのカウンセラーの相談も含まれており、いわゆる専門医への相談以外の相談も多数含まれているようです。
性別、年齢送別に見たところ、男性・女性共に今回の対象者で最も若い層25歳〜29歳が最も高く、男性、19.5%、女性19.4%でした。また総じて若いほど相談経験の割合が高い傾向が伺えました。但し、男性の40歳〜44歳層では、やや突出する形で高く19.5%でした。
(補足)男性40〜44歳代で突出している傾向について詳細に見たところ、未婚者で相談経験が突出して高く、相談結果では「各種依存症」、「心身症」の割合が非常に高く出ていました。同層ではうつ傾向というより身体の不調やアルコール依存等で受診されるケースが多いものと推測されます。
職業別に見たところ、公務員、会社員等では大きな差異は見られませんでしたが、「自由業」、「無職・その他」層で高くなっており、「無職・その他」では、29.1%でした。
個々人が潜在的な性格的側面としてもつストレス耐性をいくつかの設問の合計値として算出し、その値をもとに相談経験(専門のカウンセラーや心療内科・精神科へ相談に行く・通院する)割合を見ました。 その結果、ストレス耐性が高い人程、相談経験は低く、ストレス耐性が弱い人程、相談経験が高いという結果が出ました。
相談・受診経験のある方を対象に、最終的な診断結果について聞きました。本質問に回答した方全4439名の中で1195名が「答えたくない・覚えていない」と回答。この1195名を除く、3244名を分類すると(重複回答有り)以下のように気分障害がトップで、次ぎに不安障害、自律神経失調症の順でした。
相談経験の有無を分ける一つの要因として、両親の離婚歴、子供の頃の養育状況(子供の頃、親又は周りの人から、愛情を注がれて育てられたと思う)を取り上げて、その影響を検証しました。
結果、両親の離婚歴と相談経験に関してオッズ比を見たところ、両親に離婚歴のある人は、ない人とに比べて1.33倍(95%CI:1.19〜1.428))相談する経験をもつリスクが高いことがわかりました。 また、養育状況について、周りから愛情を受けて育ったか否かに関してオッズ比を見たところ、愛情を受けて育ったと思わない人は、思う人に比べて1.62倍(95%CI:1.50〜1.74)相談する経験をもつリスクが高いことがわかりました。
【調査概要】
対象:日本在住 社会人
有効回答数:20,721人
実施時期:2010年11月〜12月
実施方法:インターネットアンケートより無作為抽出